哲夫と真子は、自由を大切にしたい夫婦なのだ。
お互いを自由にさせてあげたい、と相手のことを思っている。
そう二人は信じている。
それなのに、お互いに相手をイライラさせてしまう出来事を誘発する。
ただ自由に愛に生きたいと思っているのだけれど。
平日の昼下がり、シティホテルのデイユース。
明るくこぎれいな部屋で、ティーパックでいれた紅茶を飲みほす真子。
「という訳で、朝から哲夫とそんな感じになっちゃったわけ。」
「旦那さんもやきもちやいたりするんだね、意外だよ。」
ホテルのテーブルとソファの向かいには、
バスローブを着た今野が座っている。
「来て早々、愚痴ってごめんね。」
「全然、むしろ無理いって来てもらったのは俺だから。うれしいよ。」
「ううん、いいの。今野くん忙しいものね。
また海外出張でしょ。そっちこそ、
そんなときにもわざわざ時間つくってくれてうれしいの。」
「早く、シャワー浴びといで。すぐ、抱きしめたい。」
「うんっ」真子はにこやかに、バスルームへ向かう。その足取りは軽い。
束縛しあう二人#3|実話ショート