春休みになり子ども達が家にいるので妻の靖子はいらだっていた。
「ねえ、ケンくんちょっとは子ども達の面倒みてくれない?!」
夫のケンは部屋に籠もってパソコンとにらみ合っていた。
「えー。俺だってさっきまでケンジの宿題見てたよ。次は靖子の番だろう。」
「今日夕方から重要なテレビ会議もあるし、準備もしないといけないのよ。もう限界なの。」
「俺だっておんなじだよー。勘弁してくれよ。」
そこへ長男のケンタがチラシを持って走ってきた。
「ねえ、パパとママ、ここいってきたら?」
「なんだこれ?」
「快感クラブ?」
「最近近所にできたネカフェらしいよ。ポストに入ってた。」
靖子とケンは顔を見合わせて
「これだ!」と意気投合した。
「その代わり、僕ら兄弟はもう今からゲームはじめていい?」
「特別に宿題もおわったし、今からゲームし放題でオーケー。
今日だけだぞ。お父さんとお母さんはちょっとここで会議してくるから。」
そう言って二人は家を飛び出した。
快感クラブで二人はそれぞれに2部屋を隣あわせにかりた。
そしてそれぞれの部屋にはいって荷物を置いた。
その後、ノックの音がしてケンがドアをあけると靖子が立っていた。
「遊びに来ちゃった。」
「なんか独身時代に戻ったみたいだね。狭いところだけど、上がっていいよ。
ただし、独身の男の家にあがるって、覚悟はあるよね?」
「何いってるのよ。もう。こっちはフルフラットなんだね。寝れそうね。」
靖子は転がって見せた。
「靖子の部屋は椅子の部屋だったんだ?こっちはフルフラットだから一緒に寝っ転がれるよ。きれいだし、静かだね。」
「そう静かだよね。さすがテレワークできるだけあって。防音みたいだね。ちょっと隣の部屋で大きい声だしてみてもらっていい?わたし、この部屋で待ってて聞いてみるわ。」
ケンは部屋からでて靖子の部屋へいった。
そしてケンは大きな声で「セックスしたーい」と叫んだ。
しかし何の返事もない。ドアがノックされた。開けると靖子が戻ってきた。
「何にも聞こえなかったよ。なんていったの?」
「セックスしたーい、って叫んだよ。」
靖子は照れてケンを小突いた。
「もう、バカっ💖ホントにしたいの?」
「うん、したい。」
「でもだめー、これから会議だから。」
靖子はベロを出す。
「ちょっとドリンクとってくるね。」
「わかったよー。」
ケンはそういったが、そのまま靖子の部屋に残っていた。
彼には作戦があった。部屋の机と椅子の下に隠れた。
靖子が戻ってきた。
「あれ?ケンくん部屋に戻ったのかな?あ、それより会議会議。」
靖子はパソコンを開いて会議の準備をすすめた。
そしてテレビ会議がすぐにはじまった。
「今日は自宅じゃないんですね?」
男性の声が画面から聞こえた。
靖子の仕事相手なのだろう。
「そうなのよ。子どもがうるさいからテレワークのブースを借りに来たの。」
「そういうの流行ってますもんね。」
若い男の前で、靖子の声はいつもよりワントーン高いような気がして、ケンは少しイラッとした。
そしておそるおそる手を伸ばして、靖子の太ももをなでた。
「ひっ!」
靖子が驚いて声をあげる。
「どうしました?」
会社の男が心配する声がきこえる。
「ちょっとふざけないで」
「え!す、すみません。僕なんかしましたか?」
「あ、ちがうの良くんじゃないの。」
良というのか。とケンは思っていた。
そういえば、良くんの話はこれまでも家でなんどか出ていたようなきがする。
一緒に出張にいった相手も良くんといっていたような・・。
「また、今日も何か僕がしてしまったのかと思って。」
「違うわ、ちがうの。」
靖子は、下を向いた。
ニヤニヤしたケンが椅子の下に隠れて、太ももをさすっている。
なにか口をパクパクしておそらく非難しているようだ。
今日はよりによってスカートで着てしまった、と思っていた。
もちろん、このあとのことを想定してのことではある。
しかしこんな状況は想像していなかった。
夫は、まさにスカートの中に手を入れてパンティの隙間にゆびをのばした。
「あっ。ああっと。あの、あれ。あのことどうなったっけ?」
あそこを触られた靖子は、思わず声が出てしまう。
それを無理矢理ごまかす。
「あのことって、もしかしてこないだの出張でのことですか。僕は誰にも話してませんよ。」
靖子がビクッとしたことがわかった。夫の手が止まる。夫が静かに話を聞いている気配が靖子にもわかった。