朝を迎えても夫は困惑していた。ベッドにはすでに自分1人。妻は朝食の準備でもしているのかもしれない。昨日のことを消化できず、夫はベットに仰向けのまま天井を眺めていた。自分たちの寝室がどこか異世界のような気分になる。
夫は長年の寝取られ願望について妻に打ち明けられずにいたが、昨晩2人で久しぶりに酔っ払った勢いでとうとう伝えることができた。しかし妻に自分の欲望を告白するつもりが、妻の告白を聞くことにもなってしまった。
それはあまりにショッキングだった。自分の男根を、男のプライドを全面的に否定されてしまった。寝取られの嫉妬で興奮すると思っていた夫のそれは、あまりに強そうなオスを連想して怖気ついていた。いつも以上に小さく縮こまり、出っ張った腹の肉の下に隠れている。
「妻が元カレを思い出してオナニーしている。しかもボディビルダーなんて」
何もかも初耳だった。もちろん自分とのセックスに不満を感じていたなんて考えたこともなかった。
昨日は、その告白の後も、最悪な形で夫婦の営みは終わってしまった。妻が強く握りしめた手を緩めたあと、夫のペニスはだらしなく柔なくなって、うなだれれていた。妻は優しい顔で微笑んで、
「意地悪言ってごめんね。元気にしてあげるね」
そう言って妻が、萎れたペニスを咥えようと手で触れた時にぬるぬるしたものが、何の勢いもなく先端から溢れてきた。夫はすでに射精していたのだ。それも負け犬のようなノロノロした全く勢いのない精子だった。
「イっちゃってたんだ。」
妻はびっくりして呆れた様子だった。手で優しくさすったが夫のそれは反応しなかった。
「挿れるのは無理そうだね。」
そのまま逃げるように夫はシャワーを浴びた。妻はそのままベッドに残された。
シャワーから戻ると妻はすでに向こうを向いて眠っている様子だった。
夫はクヨクヨ悩んでいてもしょうがないと思いベッドから身を起こした。妻の隠れた気持ちを知ることができたし、他の男と妻が絡み合っている様子をイメージすることもできた。それは願っていたことなのかもしれない。失った自信が少し戻ってきた。
キッチンでは妻が鼻歌まじりに遅めの朝食の用意をしている。
「ゆっくり寝てたね」
妻は自然な様子だった。怒っているわけでもなさそうだ。
「おはよう。子どもたちはどうしてるだろうね。」
夫も安心して普通に話しかけることができた。
「もうとっくに朝ごはんも食べ終わって山の中を走り回ってるでしょうね」
妻も答えながら、ふとりんごを切っている手を止める。手元を見つめている。
そしてゆっくりと口を開いた。
「元カレに連絡してみたよ。」
夫は突然の話に事態を飲み込めない。
「え、どういうこと?なんで?」
妻はそのまま続ける。
「昨晩あなたがしてくれないから、私また元カレを思い出して自分でしちゃったの。でもあなたのそう言う性癖って言うのかな?それがわかったから。あなたもそれを望んでるのかも、と思って。悩んだんだけど、電話しちゃったの。」
夫は、急すぎる展開に全くついていけない。
「おいおい、迷惑だろそんな夜中に電話しちゃ。」
まるで見当違いな夫の発言は妻にスルーされる。夫は何か言わなければと捻り出したのが、そんな元カレへの配慮と言うどうでもいい発言だったのだ。自分でも情けなくなってきた。
「カレは全然気にしない様子だったよ。それで私、夫は自分だけ射精して隣で寝ちゃってる。挿れてくれなかったから、あなたとのこと思い出してオナニーしてるって言っちゃったの。」
夫の不安は膨らんでいる。今にも爆発しそうなほどに。自分自身が砕けてしまいそうだ。しかし、それに反比例して下半身にある小さな分身に徐々に血が戻ってきた。
「そしたら、カレはちゃんとお願いするなら挿れてやってもいいよ、って言ってくれて。私すごい感じて、すごい嬉しくなっちゃって、お願いします、ってお願いしちゃったの。」
妻は、話しながら感じている。エプロンの下で足を太ももをもじもじと動かしている。包丁を置いて、右手をエプロンの中に滑らせるて下腹部を押さえている。
「それで・・・?」
夫は息を呑む。
「今日の午後、家まできてくれるって・・・。住所を教えといた。」
夫は目の前が真っ白になった。まだ心の準備ができていない。こんなに急にそんな男が家に妻を犯しに来るなんて、呼吸ができないくらいに興奮しているとともに恐怖している。
2人は数秒の間黙っていた。あまりの出来事に状況を冷静に捉え直すことができない。
その時夫はふと何か低周波のような低い音に気がついた。携帯のバイブ音かと思ったけれど、小さく、長く響いている。ハッとして妻の顔をみると、顔が真っ赤で目の焦点も合わずトロッとしていることに今更気がついた。
「もしかして、」
夫は妻に近づいて、エプロンをめくった。妻は下半身に何も身につけていなかった。そして妻の秘部には、夫がプレゼントした小さなバイブが埋まっていた。
「カレが、デカいの挿れてやるから、今からほぐしておけって。夫の小さいペニスのせいであそこがキツくなりすぎてるかもしれないから、って。あなたにもらったバイブが役立って、私たち嬉しいよ。」
そう行って、妻は夫にキスをしてあげた。
「今日は思いっきり楽しもうね。」
妻から甘いメスの匂いがして、夫はめまいがした。
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第六章夫をローション替わりに
第七章精子を掻き出す
第八章高速ピストンの果て