「わたし、もう40代も終盤なんです。でも今まで、女の喜びっていうのを味わったことなくて。」
トニーと関根の二人は顔を見合わせて、きょとんとした顔で首を振る。
「普通ですよ。地上でイクなんて無理ですよ。イカせてもらうってのはアングラでするものですよ。ね、トニーさん。」
「そうですね。何かと現実を引きずってると大変ですから。」
二人は当たり前という風にうなずいている。
「夫以外にも、若いころは出会い系とかナンパとかされたこともありましたし。
今ならアプリとかでも会ってセックスまで及んだことはあるんですが。
特にアタリ!みたいなことは無くて。
正直、夫と変わらないかなって。
こんな罪悪感も持って、出会い系アプリまでつかってセックスしてもイケないなんて。
そうなると逆に夫にも恨みが募って、」
こんな事まで、今まで友達にも伝えたことの無かったことを、
変態な二人に打ち明けてしまったことに驚いた。
そう話してしまえば、たいした話では無い、よくある話なのかもしれないと思えた。
リサはうつむき加減に話す。カシスルイボスティーのおかわりを
すこしずつ口に運ぶ。
顔が熱くなってきた。きっと赤く染まっているだろう。これはお酒だけじゃない、すこし体が熱くなっていきている。
カウンターでリサの右にトニーが座る。
「イカせてくれない夫が悪い、と。」
そして左側の関根は空いていた一席をつめてリサに近づいた。
「関根さんが近くに来ると、体温感じますね・・・」
リサが少し体を引くが、そうするとトニーに寄りかかってしまうのでそこまで動く訳にもいかない。
でも関根のこの姿にも慣れてきている自分に気づいていた。
「僕、裸だからね。体温高いんだよ。
でもさ、旦那さんとセックスでイケない、なんてほとんどの人がそうだよ。
夫婦でセックス出来てる、なんてほんと奇跡のカップルみたいなもんだし。
家族や日常の中で、イクって大変のことですよ。」
「ほんとですか?」
「ほんとほんと、そうじゃなかったらこんな店、成立してないよ。ね、トニーさん。」
「そうですね。そういう人のために、こうして私達がスタンバイしている訳です」
「頼もしいです・・・。」
「そのワンピース、すごく生地がよさそうだよね。」
「そうですか?」
体に巻き付いた緑と白の花柄のラップワンピの胸の膨らみを関根が見ているのを感じた。
関根のパンツが膨らんでいるのが分かる。パンツだからわかりやすい。
「あの関根さん、勃起ってますよ」
「僕ってさ、すぐ先走り汁が出ちゃうんだよね。だからその高級なワンピースに付いちゃうかも。
そうしたらカピカピであとでザーメン臭くなったワンピースで、電車に乗ることになるかもしれないよ。」
一体、なんていう言い方なんだろうとあきれるほどだが、
ちょっとザーメン、と言われそれが自分についた姿を見て、
すこしリサはゾクゾクする。
でも精子を服につけられたら、普通にキレそうだと思った。
「関根さん、たぶんリサさんイライラしてますよ。何言ってんだ、このおじさんは?って」
「うっ、ごめんね。わかりにくかったよね。つまり、その素敵な体に巻き付けたドレスを、
脱いで、下着姿になってリラックスしよ、ってこと」
関根が立ち上がって背後に回られた。
「これ以上勃起したらペニスが当たっちゃうかも・・・」
おそらく関根には、白い胸の谷間が上から見えていると思った。
熱い視線を肌に感じる。
「わかりました。ザーメンつけられたら嫌なんで、脱ぎます」
リサは椅子を引いてトニーに手を取ってもらいながらまずはストッキングに手をかけた。
3人への流れ 変態はバーにいる#6