「あ、あの一つ空けて座ってもいいですか?」
裸の男、関根が応じる。
「どうぞ、お好きなところに。」
「ええと、スタッフの方ですか?」
リサは異様な裸の男に警戒する。
「スタッフはカウンターの中にいるマスターです。私はただの客ですよ。」
リサは、カウンターの前にあるハイチェアーを引いて腰掛ける。
「ドリンクのメニューはこちらです。お好きなものを。」
ちょっと、このままじゃ気圧されて、そのまま帰ることになるかもしれない・・・。
「お、お酒を下さい。何か、飲みやすいけど弱く無いのをください!」
ちょっと声が大きくなってしまった。恥ずかしい。
マスターはにこやかに
「では、カシスのリキュールをちょっと多めにして、ルイボスティーで割った当店の人気ドリンクはいかがですか?」
「はい!それでお願いします。」
勢いよく答える。
「カシスルイボスはこの店の常連がよく飲むドリンクなんですよ。だからおいしいですよ。」
裸の男は、こちらを見るでも無く、
そっけなく答える。
「ええ、、、と。あの、どうして裸なんですか?」
「ここでは、裸が本来の正装なんです。」
「え!そうなんですか?」
思わずマスターの方を見る。
「皆さん、お好きな格好でお楽しみいただけるのがこのバーの特徴です。」
「マスター、そんなこと言わないでよ〜。裸になろうよ〜みんな〜。」
裸の男はすねている。
「昔は、そういったパンツ姿の方が多かったらしいですが、今は絶滅危惧種です。」
「はい、そうです。生きた化石、絶滅危惧種の関根です。絶滅危惧種と言えば、もうここで3Pする人もほとんどいなくなったからね〜。ダブルでレアですよ。」
「そうですねえ。男の子も照れて、男同士でチンチン見せたく無いって人多いですからね。」
「軟弱だよね〜。ちんぽ同志ぶつけてみろ、っていうの。」
裸の関根とマスターは談笑している。
「3Pの人が少ない・・・?少ないんですか!?」
リサが前のめりになって二人に聞く。
「絶滅危惧種だよ〜。ところで、お客さんのお名前は?」
「あ、わたしはリサです。リサ。今日は、社会科見学にきました。あの・・・、大人の社会に。」
「ふーん、社会科の中でも何を学ぼうと?」
「えっと・・・。コミュニケーション学というか、実践というか。
うーん、ズバリ、3P、3人でしてみたかったんです。それでこんなおばさんが恥じらいも無く、
ここへ来ちゃいました。ごめんなさい!」
リサは、とうとうこの変態的な願望を告げてしまって耳まで真っ赤である。
このまま、押し倒されたり、乳首をなめ回されてこの二人に輪姦されてしまうんだわ。
もうおしまいだわ。穴という穴を塞がれるに決まっている。
こんなことを言ってしまったんだもの。
「あ、そうなんだ〜。いいね〜。いい人来るといいね〜。」
しかし二人はどこ吹く風で、
「次は、南の島にさ、変態を探しに行ってみようかと思ってるのよ。」
「関根さんいいですね。本島ですか?離島ですか?」
「うーん、分からんけど、両方かな?」
りさはそこに割って入る。
「ちょっとちょっと待ってください。私、3Pしたいって言ったんですよ。そこ食いついて、
ガツガツ私に詰め寄るところじゃないんですか?」
関根は、はっとしたように向き直る。
「あ、ごめんごめん。いや、今そもそも僕しかいないから〜。何にも出来ないな〜ってのと。
同い年くらいの僕なんかより、
きっと若い男の子に輪姦されたいんじゃないかなーと思って、
男の子来るの、祈ってたよ。ね、マスター。」
「はい。もうすぐ男の子来ますよ。リサさん、もう少し待っててください。」
ちょっと調子は狂うけど、リラックスできたことは確かである。
「私、とにかくセックス上手な人と3Pしたいんです。
若い男を食い散らかしたい訳じゃないんです!」
強い口調で訂正した。
「そうなんだ〜。それは失礼いたしました。じゃあ、男の子来たら私も頑張っちゃうね!」
「うーん・・・。考えさえてください。」
この裸の変な男とセックスできるだろうか。
ちらっと関根の裸を見る。まあ肌もきれいだし、体毛も薄い。
よく見ると引き締まっていい体かもしれない。
何かスポーツをやっているのだろうか。
リサは、マスターが用意してくれたカシスルイボスを飲み干す。
「あら。いい飲みっぷりね。マスター私にもいっぱいちょうだい。ただのルイボスティーを。」
「かしこまりました。」
その時、カランコロン。
玄関が開く音がした。
3人がぐっと振り返る。
その3人の強い視線を受けて、入ってきた客はたじろいだ。
「なんですか?そんな鋭くみないでくださいよ。」
長身のスーツの男が入ってきた。
「あ、いらっしゃい〜。待ってたよ〜ん。」
関根が猫なで声を上げて立ち上がり駆け寄る。
そして男の手を握ってはしゃいだ。
裸の男、関根は乙女なんだな、とリサは思っていた。
スーツの男は眼光が鋭くクールな男だった。
「関根さん、ちょっと座ってて。私、まだカバンも置いてきてないから。」
「ごめんごめん、トニーさんと会うの久しぶりだから〜。」
このトニーと呼ばれた男、ちょっとかっこいいかも。リサは子宮がうずいて熱くなった。
夫には秘密で来ました。変態はバーにいる#4